人胎児付属物LDHアイソザイムパターンの逐月的変動追究による胎生環境に関する研究
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概要
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胎生環境の持つ意義の一端を解明する目的で, 人胎児付属物即羊膜, 臍帯, 脱落膜, 絨毛組織等のLDHアイソザイムパターンを妊娠各月毎に検討し, 次の知見を得た. 1) 羊膜は妊娠2ヵ月において中間型を示したが, 妊娠月数の増加にともない急激に嫌気型に移行し, 妊娠8ヵ月以降妊娠10ヵ月までほとんどパターンに変動を認めず, 極端な嫌気型を示した. 2) 臍帯は妊娠3ヵ月において中間型を示したが, 妊娠月数の増加と共に次第に嫌気型に移行した. 嫌気型に移行する早さは羊膜より時期的に多少遅れ, 妊娠10ヵ月までパターンの変動が続いた. 3) 脱落膜は妊娠5ヵ月以後の成績であるが, 妊娠5ヵ月において嫌気型を示し, 以後妊娠10ヵ月まで著しい変動を示さなかつた. LDH Vに活性の偏る程度は羊膜や臍帯程には極端でなかつた. 4) 絨毛組織は妊娠2ヵ月より10ヵ月まで常に中間型を示し, 妊娠期間中月数増加にともなう特に大きなパターン変動を認めなかつたが, 注目すべき特長として妊娠5ヵ月以後は各アイソザイム活性比率相互の差が少なくなつていた. 以上の所見より人の羊膜, 臍帯, 脱落膜は妊娠のかなり早期より末期まで, 嫌気的な子宮腔内にあつて機能を発揮するのに適したパターンを備えていると考えられた. これに対し同じく子宮腔内に存在する絨毛組織がこの様な特長的な中間型を示すことは, 絨毛組織の持つ複雑かつ多方面にわたる機能が反映されているからであろうと考えた.
- 1972-11-01
著者
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