新生児頭髪毛根外鞘細胞における性染色質出現頻度について
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概要
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性染色質の観察には従来一般に口腔粘膜細胞が用いられてきたが, 必ずしもその出現頻度は高いとはいえない. その上新生児では生後日差変動があり, 出現頻度は成人よりも低いと報告されている. Schmidは成人女子の頭髪毛根外鞘細胞について性染色質の観察を行い, 口腔粘膜細胞よりも高頻度に性染色質を証明しうることを報告している. そこで筆者はSchmidの行つた毛根法を新生女児に適用し, 1. 口腔粘膜細胞材料と同様の生後日差変動を示すか, 2. 成人の場合のレベルまで出現率の増加がみられるか, を知り毛根法が新生児におけるSex Check法として有用か否かを検討する目的で, 出生後1日目より経日的に頭髪毛根外鞘細胞と口腔粘膜細胞について,各々性染色質の出現頻度を観察して以下の結果を得た. 1. 毛根外鞘細胞によるものが口腔粘膜細胞によるものの2倍以上の陽性率を示し, しかも両材料による結果はほぼ平行関係にある. 2. 経日的にみると生後1〜3日は成人に比べてかなり低い値となつたが, 4日以後は成人の値に近いものとなつた. 3. 毛根法による自験例の生後4日目以降の新生児の性染色質最小出現頻度よりして, 性染色質陽性と判定するには出現率30%を目標におけば十分と考えられる.
- 1972-02-01