卵管液の糖蛋白についての研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
哺乳類の卵管液についての研究の歴史は浅く, 特にその化学的性状についての知見は極めて限られている. しかしこの卵管液の化学的性状についての解明は生殖生理学上必須の重要な課題である. そこで家兎卵管液の化学的性状, 特にその糖蛋白について研究した. 家兎卵管液から蛋白消化およびゲル濾過によつて多糖画分を分離し, 電気泳動後トルイジンブルー染色でメタクロマジーを呈する3つのバンドを認めたので, その本体について追求した. 易動度の最も大きい第1のスポットはコンドロイチン硫酸A, Cよりやゝ早く泳動される鮮かなスポットで, 第2のスポットはデルマタン硫酸と類似の位置にある薄い色調のものである. これらはいずれもコンドロイチナーゼABCで消化されたのでそれぞれ, コンドロイチン硫酸およびデルマタン硫酸と同定された. 更に原点近くに留る濃染された第3の"スポット群"について攻求した. 即ち, この多糖画分を更にコンドロイチナーゼABCで消化したのちDEAEセルローズカラムにかけ, 酢酸-ピリジン緩衝液でstepwiseに溶出し各溶出画分について分析した結果, 0.1M, 0.3M画分はシアル酸含有糖蛋白であり, 0.5M, 1.0M画分はシアル酸含有硫酸化糖蛋白と考えられ, かつ1.5M画分はケラト硫酸様物質であると考えられた. またこれらの画分のメタクロマジーの強さはいずれも硫酸基の含有量に並行していた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1972-11-01
著者
関連論文
- 137 卵管不妊に関する研究
- 30. 卵管不妊に関する研究
- 卵管液の糖蛋白についての研究
- 93. 卵管分泌液の生化学的研究 : 特に硫酸化糖蛋白について
- 巨大卵巣嚢腫液の生化学的研究
- 内臓奇形を合併した頭部欠損児および上肢欠損児の2例
- 110. 卵管分泌液の生化学的研究
- 110. 卵管分泌液の生化学的研究
- 卵管分泌液に関する研究 : 特に分泌液量について
- 137. 卵管不妊に関する研究