Hyoscin-N-Butylbromide静注による胎児心拍数の変化について : 潜在性胎児切迫仮死の探究
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概要
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従来, 産科学に於て「胎児管理」は極めて重要であるにもかゝわらず, 適切な方法がなく, 唯単に, 腹壁上より, 胎児心音を聴取する程度であった. 1950年頃より, 多くの研究者によって, 胎児心電計, 胎児心拍数計などを利用し, 胎児の心臓循環器系に, 直接または間接的に影響を及ぼす薬剤を投与し, 心電計, 心拍数計に現われる変化より, 間接的に胎児胎盤系機能を判定し, もって胎児管理に役立てんとする研究がなされた. また, 胎児胎盤系機能を生化学的, 量的に判定するものとして, 従来, 妊婦尿中エストリオール量の測定が報告されている. 今回, 著者は胎児心電図を利用し, 胎児の心臓循環器系に影響を与える薬剤として, 自律神経節遮断剤である Hyostin-N-Butylbromideを使用し, その薬効作用より, 胎児胎盤系機能検査というよりは, 胎児の自律神経系の状態を, また, それを支配している胎児環境を推定し, もって胎児管理法としての実用性を検討した. 1. 著者のいう「胎児環境検査」施行は84例. 2. 胎児燥境検査施行の84例に, 推計学的処理を行なって, I型よりIV型までの, 4群に分類した. 3. 妊婦尿中エストリオール量測定は30例. 4. 胎盤組織検査例は20例. 5. 臨床的所見, 即ち, 妊娠中毒症, 異常分娩, 胎児仮死, PDS, 胎盤変性所見などと, 本検査との間に, ほゞ平行的関係があるのを認めた. 6. 妊婦尿中エストリオール量と, 本検査との間に, ほゞ平行的関係があるのを認めた. 7. 胎盤の組織学的所見と本検査との間に, 平行関係は認められなかった. 8. 胎児環境検査は, 現時点に於て, 臨床的に極めて有用であるとの結論に達した.
- 1968-02-01
著者
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鈴木 晴夫
Department Of Obstetrics And Gynecology Tokyoto Kokumin Kenkouhoken Rengoukai Fussa Hospital
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鈴木 晴夫
慶応義塾大学医学部産科婦人科学教室
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