妊娠個体の必須脂酸代謝に関する実験的研究 : 第2編 絨毛組織,〓帯血血清,胎児肝における必須脂酸代謝について
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概要
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絨毛組織必須脂酸量は妊娠中期においてもつとも多く,とくにアラキドン酸が多い.晩期中毒症では正常妊娠時に比し,アラキドン酸が少ない.母体に脂質を負荷すると妊娠末期におけるリノール酸,特にアラキドン酸が著明に増量する.〓帯血中の必須脂酸は母体血に比して少ないが,リノール酸とアラキドン酸の比をみると母血においては6:1,〓帯血では3:1と効率の高いアラキドン酸の占める比率が母血のほぼ2倍となつている.脂質負荷により母血におけるリノール酸対アラキドン酸の比率が変化するのに対し,〓帯血では依然3:1であり,これは胎児側の必要に応じて送り出すという一種の自律能を胎盤がもつていると思われる.胎児肝についてはやはり妊娠中期においてその含量はもつとも多いが,とくに著明なことは母血,絨毛組織,〓帯血においてリノール酸含量がもつとも大であるのに対し,胎児肝では妊娠各期ともアラキドン酸の保有量がもつとも多い. しかも母体に脂質を負荷すると,その増加率は絨毛組織にくらべ,はるかに低いが,妊娠末期のアラキドン酸においてはかなりの増加を示している.以上,妊娠時母体に必須脂酸に富む脂質を負荷すると,これが妊卵組織に大量に送りこまれるとともに,母体肝,絨毛組織においてリノール酸からより効率のよいアラキドン酸へ活発に転化され,胎児の発育に必要な恒定要素として大いに貢献しているものと思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-09-01
著者
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