血清Cystine aminopeptidase活性に及ぼすHormoneの影響及び胎盤内Cystine aminopeptidaseに関する研究
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概要
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生体内cystine aminopeptidase (CAP)は妊娠に特異的な血清CAPと, 妊娠の如何を問わず広く組織内に分布するCAPに二分され, 胎盤は前者の産生部位と考えられている. しかるに, 胎盤内CAPを二者に区別し, 更に臨床との関連性を観察した報告はSemm以外に認められない. 又, 胎盤が血清CAPの産生部位とすれば胎盤内CAP活性とその母体血清CAP活性との間には密接な相関がみられる筈であるが, この点に関する観察は全くなされてない. 従つて著者は胎盤内CAPを2Na-H_2O EDTAを用いて妊娠特異的及び非特異的CAPに区別し, 上記事項の検討を加えた. その結果, 胎盤内総CAPは母体血清のそれに比し, 約1,5及至2,0倍の活性を有し, そのうち妊娠特異的と非特異的CAPの活性比は略々3:1となる. 胎盤内妊娠非特異的CAPは, 特異的CAP及び母体血清CAP活性の大小とは関係なく一定の活性を示めしたが, 妊娠特異的CAPと母体血清CAP活性との間には強い相関がみられた. これらの知見から, 血清CAPの産生部位が胎盤であることを推論した. 胎盤内妊娠特異的CAP活性と妊娠持続期間, 児生下時体重との比較では, それぞれの満期産群及び2.5Kg-4.0kgの群にCAP活性の比較的高値がみられ, 胎盤重量とでは一定の傾向をみなかつた. 又, 微弱陣痛及び分娩誘発群の胎盤では, 妊娠特異的CAP活性が正常群に比し有意に高いことをみた. この知見から微弱陣痛の成因について論じた. Hormoneと酵素の生理学的関連性については近年研究が盛んになつて来たが, 血清CAP活性に及ぼすhormoneの影響についての研究はみられず, この点に関しても今回検討を加えた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-06-01
著者
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