血清L-Cystine Aminopeptidaseの分娩発来に及ぼす影響について
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概要
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分娩発来機序に関しては未だ充分解明されていないが, 血清L-Cystine Aminopeptidaseは陣痛発来に最も関係が深いとされているOxytocinを不活化する酵素であるため, 陣痛に何らかの影響があるものと考えられる. 著者は正常分娩及びOxytocinその他による分娩誘導時の本酵素活性の時間的変動を追求し, 次の結果を得た. 1)正常分娩時では陣痛の増強と共に次第にCAP活性は減少し, 陣痛初発より約8時間後に最低となり, 入院時値に比し約10%の活性低下を認めた. しかし子宮口全開前後に再び活性は増加した. 2) Oxytocin点滴による分娩誘導時では点滴開始時間の経過と共にCAP活性は減少し, 3〜5時間後に最低となり, 点滴前値に比し約13%の活性低下をみた. 3)微弱陣痛例ではCAP活性の低下は殆んどなく, Oxytocin点滴にて陣痛が発来しない症例においても活性の変化がみられない. 4)デリバリン投与前後のCAP活性に著変がない. 5)エストリール投与により, 妊娠末期血清のCAP活性はやや増加した. 6)機械的分娩誘導時のCAP活性は, 誘導前値と陣痛発来までの測定値に変化は殆んどみられない. 以上のことから妊娠中増量を続け, 子宮筋を保護していた本酵素が, 何らかの原因によつて低下すればOxytocinの分泌が亢進しなくとも分娩準備状態にある子宮は微量のOxytocinによつて, 容易に陣痛を発来し得ると考えられる. 従つて本酵素の減少もまた, 陣痛発来の一因子であろうと推論した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-11-01
著者
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