産科領域に於ける血清L-Cystine Aminopeptidaseの臨床的応用について
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概要
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血清L-Cystine Aminopeptidase (CAP)が妊娠個体に対して如何なる意義を有するかは明確ではないが, 本酵素は胎盤由来物質であり, Oxytocinを不活化する. また妊娠によつて酵素活性が増加し, 分娩が終ると共に減少する. このように妊娠に対して特異的な酵素であるため産科領域に於ける臨床的応用が可能である. 著者は正常妊娠, 分娩, 産褥時及び各種の異常妊娠時のCAP活性を測定して, 本酵素の臨床的な応用について検討した. 1)妊娠6週にしてCAP活性は非妊時に比し増加を認め, 妊娠の経過と共に上昇し, 妊娠41週に最高値に達するが, 以後分娩予定日を過ぎるに従つて活性は減少した. これらより早期妊娠, 妊娠月数及び予定日超過等の診断の補助となし得た. 2)分娩第1期では第2期に比し活性は低く, 分娩終了後急激に減少し, 2週後にはほぼ非妊値となつた. 3)妊娠中毒症では正常妊娠とCAP活性に大差は認められないが, 子癇前症等の重症例では活性が低いものが多い. 4)胞状奇胎のCAP活性はほぼ1.0〜1.5mg/dl/hの範囲内にあるため, 臨床症状と測定値により本症の診断は比較的容易である. 5)子宮内胎児死亡, 双胎では各々相当する妊娠月数に比し活性は前者は低く, 後者は高い. 6)流産, 子宮外妊娠, 悪性絨毛上皮腫等では活性値が低いため診断には応用し難いことが多い. CAP活性は個人差が著しく, 一回の測定で診断しがたい場合には1〜2週後に再測定すれば診断が更に容易となる. 改良した測定法によれば短時間, 容易に測定し得るため, 産併領域に於て本酵素は臨床的に充分応用価値があると考えた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1966-10-01
著者
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