妊産婦の血清 TSH値と TRH に対する反応について : 高感度測定法 (IRMA法) による検討
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概要
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妊娠,分娩に伴う下垂体,甲状腺機能の変化を調べるために,213例の正常妊婦において高感度測定法(Immunoradiometric Assay)を用いて血中TSH濃度を測定した。さらに測定感度以下の血清TSH値を示した妊婦において,TRH負荷試験を行い,以下の結果を得た。 1. 正常妊婦の血清TSHの平均値は妊娠,産褥期を通して,非妊婦人よりも低値であった。 2. 1st trimester の血清TSH値は0.81μU/mlで,他の時期よりも低値であった(p<0.001). 3. 血清FT_4は1st trimester でやや上昇し,妊娠経過と共に低下した。 4. 血清FT_4とHCGの間に1st,2nd trimester において正の相関を認めた。 5. 測定感度(0.1μU/ml)以下の血清TSH値を示した症例が1st trimester で77例中17例(22.1%),3rd trimester で128例中2例(1.6%)存在した。 6. これらの症例はほとんど2nd trimester 以降に血清TSH値は測定感度以上に上昇した。TRH負荷試験で1st trimester の4例中2例,2nd trimester の8例中1例が無反応を示し,その血清TSH基礎値は0.1μU/ml以下であった。 以上より,妊娠とともに下垂体からのTSH分泌は減少し,特に妊娠初期にはTRHに対する反応性も低下するが,妊娠中期には回復していく。この原因としては,やや増加したFT_4によるnegative feedback と考えられるが,妊娠後期のFT_4が低下する時期にはTSHは上昇せず,下垂体の感受性が変化している可能性を示唆するものと考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-09-01
著者
-
入江 実
成長科学協会
-
布施 養善
サヴァイクリニック
-
宮地 幸隆
東邦大学医学部第一内科
-
布施 養善
東邦大学医学部周産期センター
-
清水 光政
東邦大学医学部周産期センター
-
宇賀 直樹
東邦大学医学部周産期センター
-
宇賀 直樹
東邦大学医療センター大森病院新生児科
-
布施 養善
東邦大学医学部新生児学教室
-
布施 養善
東邦大新生児研
-
金子 浩
東邦大学医学部第1内科学教室
-
入江 実
東邦大学医学部第1内科学教室
-
清水 光政
東邦大周産期センター
-
前田 光士
東邦大学医学部第1産科婦人科学教室
-
宮地 幸隆
東邦大学医学部付属大森病院第一内科
-
林 鴻程
東邦大学医学部第1産婦人科学教室
-
岡部 政廣
SRL
-
小林 裕次
SRL
-
関東 繁
東邦大学医学部第1内科学教室
-
林 元子
東邦大学医学部第1内科学教室
-
前田 光士
東邦大学医学部第1産婦人科学教室
-
布施 養善
東邦大学医学部付属大森病院周産期センター新生児学研究室
-
宮地 幸隆
東邦大学大森病院第1内科
-
宮地 幸隆
東邦大・医・第一内科
-
清水 光政
東邦大学医学部新生児学教室
-
布施 養善
東邦大新生児学教室
-
宇賀 直樹
東邦大学医学部 新生児科学教室
-
入江 實
東邦大 医
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