正常絨毛、脱落膜細胞におけるin vitro風疹ウイルス感染実験
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概要
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風疹ウイルス(RV)の経胎盤感染の詳細を研究する目的で,正常ヒト絨毛,脱落膜初代培養細胞を用いてin vitroでRV感染実験を行った.RV非感染,正常妊婦より得た絨毛(CN)の初代培養細胞にin vitroでRV(M-33株)を吸着,感染させると6-7日目に比較的弱いCPEが出現し,4-5 log_<10> FFU/0.1mlのRVを培養液中に放出したが,次第にCPEは消失し,RV持続感染絨毛細胞が成立した.持続感染状態での放出ウイルス力価は3-4 log_<10> FFU/0.1mlであり,また蛍光抗体法(間接法)にて細胞質内にRV特異蛍光の局在を確認した.RV感染による,細胞増殖率,および形態の変化は認められなかった.正常ヒト脱落膜(DN)の初代培養細胞に対し同様の処置をしたが,CPEはおこらず,持続感染も成立しなかった.先に著者は,RV感染妊婦より得た絨毛,脱落膜細胞の培養実験で,抗原性ならびに生物活性の点で標準RV株に類似のRVが持続的に分離され,子宮内でRV持続感染絨毛細胞が成立していることを報告したが,今回の結果は,これを裏づけるものである.以上より,絨毛細胞はRV感受性に富み,in vivoおよびin vitroでRV持続感染となり得,一方脱落膜細胞では起り難いことがわかった.従って,RV経胎盤感染の機構は絨毛細胞感染を経る持続感染によるものであると考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-06-01
著者
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