風疹感染妊婦における胎児、胎盤組織のウイルス学的検討
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概要
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先天性風疹症候群の発症機構を研究するにあたり,風疹ウイルス(RV)の経胎盤感染について,in vitro実験を行なった.材料はRV感染妊婦から人工流産により得た絨毛(CR),脱落膜(DR)および胎児組織(FR)を用いた.患者は妊娠12週,血清学的検査ではRV赤血球凝集阻止抗体価512倍,補体結合抗体価16倍であった.CR,DR,FRいずれの細胞も約70日間in vitroで細胞培養を行なった.この間ウイルス学的検索を行ない以下の成績を得た.1.CR,FR両細胞からVero細胞にてCPEを発現するウイルスが分離され,中和試験により,分離ウイルスの抗原性,生物学的特性はRV標準株M-33と同じであることが証明された.この時分離されたRVの力価はCR:約4 log_<10> FFU(フォーカス形成単位)/0.1ml,FR:約3log_<10> FFU/0.1mlであった.一方,DR細胞からはRVを分離し得なかった.2.CRおよびFR両細胞は培養中に常に2-4log_<10> FFU/O.1mlのRVを放出していた.蛍光抗体法による組織化学的方法によっても,細胞質内にRV特異蛍光を認めた.従って,これらの細胞はRV持続感染細胞であることが示された.DR細胞ではRVの放出も認められず,蛍光抗体法は陰性であった.以上の所見より,RVはin vivoで絨毛細胞および胎児細胞で持続感染状態となっており,RV経胎盤感染の機構は絨毛細胞における持続感染であることが推測された.
- 1983-05-01
著者
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