妊娠ラット子宮筋の自発活動パターン変化に影響をおよぼす因子
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概要
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妊娠ラット子宮の縦走筋と輪走筋は,両者とも妊娠の経過に伴って自発活動のパターンが変化し,ことに輸走筋では妊娠中期に見られるプラトー電位が妊娠の末期ではスパイク放電群に変り,筋収縮も持続が長く,その頻度も減少してくる.分娩の準備状態ともいえるこれらの変化に注目して,一側妊娠ラット,一側胎盤剥離ラット,両側卵巣切除ラットを作製し,これを用いて,微小電極法によって細胞内活動電位と筋収縮を同時に記録することにより,筋伸展,胎仔胎盤の存在および,卵巣ホルモンが子宮筋におよぼす影響を調べた.縦走筋のパターン変化を中心に,輪走筋との比較において考察し,次の成績を得た.(1)一側妊娠ラットにおいて,縦走筋の自発性活動電位のパターンは両子宮角で明らかに異なり,非妊娠側では静止膜電位は深く(-41.8mv対-48.3mv),活動電位が大きくて(38.9mv対60.7mv),最初のスパイク電位の最大立上り速度も大きかった(3.OV/sec対9.5V/sec).(2)一側胎盤剥離ラットにおいては,ほとんど縦走筋の自発活動に左右差はなかった.(3)両側卵巣切除ラットにおいて,エストロゲン投与群においては分娩は正常に進行し,縦走筋の自発活動のパターンも正常分娩時と同様であった.エストロゲン非投与群では分娩は遷延し,異常分娩となったが,縦走筋の自発活動のパターンは正常であった.以上より,妊娠ラットの分娩発来において,縦走筋の成熟には筋伸展が最も重要な因子であり,輸走筋との間に役割の違いが存在することが示唆された.
- 1983-01-01
著者
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