E_2 carrier drug の抗腫瘍効果およびその作用機序に関する研究
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概要
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E_2 carrier drugであるEstracyt(以下EC)を用いてEstrogen Receptor(以下ER)を有することを確認したMM2細胞担癌マウスに対してECの抗腫瘍効果およびその作用機序について検討し、以下の結果を得た。 1. MM_2 cellには、ERが存在した。なおProgesterone Receptor(以下PR)は存在しなかった。 2. 腫瘍増殖比は、(A)生食群:783%、(B)EC20mg/kg群:653%、(C)EC100mg/kg群:440%、(D)17β-estradiol 50μg/kg群:582%と(C)が(A)に比し有意(p<0.05)に抑制された。 3. ER cytosolは、476〜635f・mol/mg・protein、ER nucleiは0.5〜1.5f・mol/μg DNAと各群に差は認めなかった。 4. 解離定数については、Kd=1.54〜2.22×10^-9Mであり、そのaffinityにはE2 carrier drug投与による変化はみられなかった。 5. 血清中Estradiol(E_2)は、(C)が有意(p<0.01)に増加したが、血清中Progesterone(P)は、各群に差はなかった。 6. 組織中のEstromustine(EM-1)、Estramustine(EM-2)、estradiol(E_2)は、EC投与群においてdose dependentに組織内のEM-1、EM-2、E_2の増加が認められ、血清中EM-1、EM-2もEC投与群にのみ認められた。 7. 組織像は、EC投与群において、抗腫瘍効果と考えられる多核巨大細胞と壊死がみられ、その効果もdose dependentと考えられた。 以上よりERを有するMM_2細胞胆癌マウスに対してECは抗腫瘍効果を有し、その作用機序は、主経路ではsteroid receptorを介するものではなく、ECの代謝産物であるEM-1、EM-2、E_2等の組織内転換量とそれらの組織内貯留時間が、ECの抗腫瘍効果発現に密接に関与しているものと考えられた。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-05-01
著者
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