ラット卵細胞成熟分裂におけるProgesteroneの意義に関する実験的研究
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概要
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卵細胞成熟分裂におけるprogesterone(P)の生理学的意義を検討するため, 排卵刺激によつて誘導される内因性Pを, 抗P家兎抗血清rabbit antiserum to progesterone(anti-P)で中和した場合の効果を, 卵核胞崩壊germinal vesicle breakdown(GVBD)を指標として, 計量形態的に検討した.生後22日齢のWister系幼若雌ラつトに, 妊馬血清ゴナドトロピン(PMS)とヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の順次投与による誘発排卵処置を施し, 1)hCqと同時に排卵抑制量のanti-Pを投与した群, 2)anti-P投与後外因性にPを補充した群ならびに, 3)anti-P投与後外因性P補充と抗estrone家兎抗血清rabbit antiserum to estrone(anti-E)の併用投与を行つた群について, hCG投与後6時間で両側卵巣を摘出し連続切片を作成した.卵胞をその最大直径から, 大(250μm以上), 中(125〜250μm), 小(125μm以下)卵胞の3群に分類し, GVBDを形態的指標とし成熟分裂を再開した卵細胞塾を算定, 全卵細胞数に対する百分率を再開率として比較検討した.anti-P投与群では対照群68.5±2.0%に比し, 大卵胞内卵細胞群で再開率は50.4±2.9%と著明に減少した.P補充群では大卵胞内卵細胞群で再開率は55.8±2.0%と部分的な回復が観察された.さらに外因性P補充と同時にanti-Eを投与した群では, 大卵胞内卵細胞群の再開率はP補充群に比し有意に増加し, 67.1±4.2%とほぼ対照群のレベルにまで回復した.中卵胞内卵細胞群ではいずれの処置においても, 再開率に有意の変化はみられなかつた.以上の実験結果から, Pは直径250μm以上の大卵胞内卵細胞の成熟分裂再開に, 促進因子の1つとして関与していることが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-11-01
著者
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