子宮内膜に存在するAdenylate Cydase のステロイドホルモンによる特異的調節
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概要
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今回我々は,子宮内膜に存在するadeny 13 tecydase活性の月経周期に伴う変動およびステロイドホルモンによる調節について研究した.ヒト子宮内膜adenylate cyclase 活性は,子宮筋・黄体。卵管に比べ,catecholamine(L-isoproterenol,L-epinephrine)およびprostoglandin(PGE_2,PGF_<2α>)に強く刺激された.catecholamin e刺激 adenylate cyclase 活性は増殖期後期にピークを認め,以後有意に低下した.一方,prostaglandin刺adenylatecydase活性は増殖期に低く,分泌期後期に有意に著増した.次にこの月経周期に伴う変動機序を解明する為に,家兎を用いた実験を行なった.まず,hCG投与前後における家兎子宮内膜のadenylatecyclase活性変動を検討した.progesterone優位となるhCG投与後11日目の活性は,estrogen優位である投与前に比し,catechoiamine刺激adenylatecyclase活性は有意に低く,prostaglandin 刺激 adenylate cyciase 活性は有意に高かった.この結果はヒト子宮内膜における変動パターンと類似しており,実験モデルとなり得ることが示された.続いて両側卵巣摘出家兎において,ステロイドホルモンおよびcycloheximide (蛋白質合成阻害剤)の効果を検討した.catacholamine刺激adenylate cylase活性は無処置群に比し,estrogen処置により有意に上昇し,この上昇はcycloheximideにより抑制された.一方,prostaglandin刺激adenylate cylase活性はprogesterone処置により有意に上昇し,この上昇はcycloheximideにより抑制された.以上の結果から,子宮内膜のadenylate cyclase活性は月経周期に伴い変動すること,およびこの変動は蛋白合成を介したestrogenあるいはprogesteroneによる特異的な調節に基づくことが明らかとなった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-04-01
著者
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