適応型イコライザーを備えた1MHzドブラ装置 : 分娩時胎児心拍測定用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
発振周波数2MHz、1MHz、455kHzの3種の連続超音波ドブラ(C-Wドブラ)装置を試作し、電子スキャン装置と併用して分娩時の最適な信号採取条件を定めた。次にこの条件で臨床例11例について直接誘導胎児心電と同時記録しFFT分析を中心とするソフトウエアによるデータ処理システムを開発し定量分析を行った。システムは胎児心電QRS peakで0.5msecの精度でtriggerし、各周波数について1心拍対応のドブラ信号を0.2msecのサンプリングレートでA/D変換し、FFT分析から出発するもので振幅、周波数、時間軸の3次元分析が可能となった。その結果、3種の周波数のうち胎児心反射源強度として最も優勢なものは2MHzであるが8〜9種の弁信号を含むなど複雑すぎ、透過性の点でも問題があることが明らかとなった。これに対して1MHz信号は3〜4種の弁信号を含むのみで信号の単純さと深部透過性で2MHzより優れる。これに対し455kHzは波形は単純であるが低域部分が優勢で検出精度で劣る事が致命的であった。これらのことから従来の2MHzに対し1MHzドプラ信号が心拍数計入力として遥かに優れていることを確かめた。次に、ドプラ信号の3次元分析では周波数が低域になるほど強勢な入力信号が得られ、しかも経時的に振幅変動が20〜30db、周波数変動30〜40%にも達したので、入力信号の変動に対して2秒程度の時間遅れで特性が変化する適応型ディジタルイコライザーを導入することによって周波数軸及び振幅情報の分布が平均化され、弁あるいは血流信号の特徴抽出が可能となった。弁信号自動検出用のイコライザーを用いた入力波形では2〜4種の弁信号と血流が含まれる1MHz信号が最適であり、弁域いは血流信号を自動認識しながら入力信号の変動に追随する次世代の高精度ドプラ入力胎児心拍数計を提案した。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-02-01
著者
関連論文
- 231 空中超音波による新生児呼吸心拍のリモートセンシング
- 540 人工知能による妊産婦の集団管理方式の研究 : 周産期データベースの構築と検討
- 529 双胎間の行動の同期性の研究 : 心拍パターンについて
- 116. 胎芽心拍数と, 電子スキャン心拍信号成分による分娩予定日の推定精度
- 228 妊娠初期胎芽心の壁及び弁成分の自動認識
- 323. 高精度ドプラ入力胎児心拍数計の設計条件 : 第56群 ME V
- 104. 自己相関による妊娠初期胎芽心拍の自動計測システムの臨床応用 : 電子スキャン装置の画像入力による : 第19群 ME III
- 208. 胎児ドプラ信号のFFT分析 : 各種弁信号の周波数分析と信号対雑昔比の測定 : 第35群 ME III (206〜211)
- 181. ドプラ信号入力時の胎児心拍測定誤差 : 誤差要因の定量分析 : 第30群 診断・検査 I (176〜181)
- 245.胎児心拍細変動の多元・自動評価 : 第41群 ME IV (240〜245)
- 244.高精度胎児心拍検出システムの臨床応用 : 第41群 ME IV (240〜245)
- 237.超音波ドップラー信号のテレメトリーによる胎児心拍日内変動の自動分析 : 第47群 ME II(234〜239)
- 適応型イコライザーを備えた1MHzドブラ装置 : 分娩時胎児心拍測定用
- 産婦人科領域におけるT-1982(Cefbuperazone)の基礎的,臨床的検討 (T-1982(Cefbuperazone)-2-)