ヒト月経黄体,妊娠黄体のLHレセプターの研究
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概要
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ヒト黄体のlifespanを解明するための手がかりとして,^<125>I-LHの黄体への特異的結合を調べ,ヒト月経,妊娠黄体のLHレセプターについて検討を加えた.(1)ヒト黄体細胞膜homogenate 20,000g分画に^<125>I-LH,^<125>I-HCGの特異的結合が認められた.LH,HCGは黄体細胞膜分画と^<125>I-LH,^<125>I-HCGとの結合を抑制するが,HCGはLHに比較して抑制効果は強く,一方,FSHには抑制効果はほとんど認められなかった.(2)ヒト黄体細胞膜分画と^<125>I-LHとの結合はincubation時間,温度,^<125>I-LH濃度,細胞膜分画蛋白濃度,incubation mediumのpHによって変化し,37℃,60分間,pH 6.0のincubationで最大の結合が得られた.(3)ヒト月経黄体のLHに特異的に結合するレセプター数は黄体期初期より増加し,中期,特に排卵後5日目に最も多くなり,後期には減少し,自体には認められなかった.なお,解離定数はほぽ一定であった.(4)ヒト妊娠黄体においては^<125>I-LHと特異的に結合するレセプターは存在しないか,あるいは存在しても少数で,妊娠7週から42週迄のLHレセプター数には変動は認められなかった.以上の成績より,LHレセプターは黄体のlifespanに関連する重要な因子と推察される.さらに,我々の教室の従来よりのデータとも合わせて黄体機能不全に対すちHCG投与の有効性は認められるが,切迫流産に対するHCG投与の効果については疑わしいと推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-10-01
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