人子宮頚癌細胞増殖動態と制癌剤の影響に関する研究
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概要
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最近,癌の細胞増殖動態に関する関心が高まり,癌化学療法の実施にあたり,その知識が必要となつてきた.著者は人子宮頚部扁平上皮癌について,組織培養法を用い,TdR-^3Hのautoradiographを作製して細胞周期を中心とした検索を行なつた.cell cycle timeは平均25.3時間,S期時間平均9.1時間,growth fractionは0.63であり,癌巣内では内部に比して間質との近位域にある外層のgrowth fractionが高値であつた.この成績は,頚癌患者に直接TdR-^3Hを静脈内に注射して測定したBenningtonの成績に近似している.次いで著者は頚癌の手術的化学療法例について内腸骨動脈内へ制癌剤を動注し,その腫瘍の細胞増殖動態ならびに核酸・蛋白合成におよぼす影響を検討した.Bleomycin (BLM)はG_1後期とS期に障害を示し,RNA合成への障害が蛋白合成の変化に反映していることが認められた.Mitomycin C (MMC)ではS期およびG_1期の広域に障害がみられ,蛋白合成の低下がRNA合成の変化に先行して認められた.Adriamycin (ADM)およびCarbazilquinone (CQ)ではG_1期・S期・G_2期の極めて広範囲に障害がおよび,RNA合成と蛋白合成が平行して障害されることが認められた.いずれの薬剤投与時もRNA・蛋白合成の低下がみられ,このことがこれら薬剤をcycle phase non-specificにしているものと推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-05-01
著者
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