子宮頚癌の組織型と予後に関する研究

概要

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1965年より1975年の間に札幌医科大学産婦人科学教室で子宮頚癌の診断を下し,治療を行つたIb期以上の症例について,扁平上皮癌はlarge cell nonkeratinizing type, keratinizing type,およびsmall cell typeに,腺癌は分化型腺癌,未分化型腺癌,およびadenosquamous carcinomaに分類して,手術群(リンパ節廓清及び広汎全摘),放射線治療群に分け,8年以上追跡可能群,5年以上追跡可能群等治療期間別に分けて生存率を検討した. (1) 扁平上皮癌で放射線治療による組織型別生存率を比較すると,1965年〜1967年治療群ではstage II及びstage III共に生存率はlarge cell nonkeratinizing, small cell, keratinizingの順となり,多くはlarge cell nonkeratinizing typeと他の組織型との間に統計学的に有意の差を示した.また,これらの傾向は1968年〜1970年代の治療群についても同様であった. (2) 手術群では1965年〜1967年治療群,1968年〜1970年治療群共にその生存率の順位は放射線治療群と同じであつたが,統計学的にはlarge cell nonkeratinizing typeとkeratinizing typeの間にのみ有意の生存率の差が認められた.この原因としては,keratinizing typeのリンパ節転移陽性率が高いことが考えられる. (3) 腺癌の各組織型間の生存率の差は統計学的に評価出来る例数がないため比較不可能であつたが,手術群では扁平上皮癌の治療成績とほとんど差がなく,放射線治療群では5年追跡可能群全例を集計すると,stage II, stage III共に扁平上皮癌の各組織型より低い生存率であつた.この様に,腺癌では放射線治療成績が悪く,特にadenosquamous carcinomaでは放射線治療を行つたすべての症例が死亡していることが注目される. (4) 組織型による生存率の差の原因としては,放射線感受性の差とリンパ節転移陽性率の差という生物学的特性を考慮する必要がある.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-04-01

子宮頚癌の組織型と予後に関する研究

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