Radioreceptorassay (RRA)による血中HCGの測定 : その基礎的検討と臨床応用
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概要
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LH-HCGレセプターを用いたHCGのRadioreceptorassay(RRA)を開発するために,その基礎的検討を行なうとともに,排卵前より連続的に採血し妊娠した12例(正常初期妊娠9例,初期流産3例)について,RRAにより血中HCG動態を明らかにし,かつRIAによるHCG値との比較検討を行なつた.(1)レセプターとして,性成熟雄ラット睾丸homogenateを,600gから2,OOOgにわたる遠心分離した上清を用いた.(2)緩衝液として,10mM Tris-HCl, pH7.4, 250mM Sucroseに,Na^+を50mEq/L, Ca^<++>とMg^<++>を10mEq/L加えたものを用いた.(3)incubationには,37℃で6時間あるいは室温一昼夜放置法を用いた.(4)RRAにおいては,HCGとLHとは100%交叉し,FSHとは4%交叉した.(5)血清による結合阻害が認められるため,標準HCGに正常黄体期血清を測定する検体と等量加え,補正した(6)感度は5mIUであり,intra-assay及びinter-assay precisionはそれぞれC.V.=3.71%, 5.62%であつた.(7)正常初期妊娠では,RRAによりLHピーク後13日目よりHCGは検出可能であり,HCGの最大値は35日目から56日目頃に認められ,140IU/mlから500IU/mlであつた.RIAによるHCG値と比較すると,RRAによるものは1.5倍から3倍高値を示し,その差は80IU/mlから250IU/mlであつた.(8)初期流産のHCG動態は症例により異なる様相を示した.以上から,RRAによる血中HCGの測定は,操作が簡単で,かつ約6時間という短時間のincubationですみ,感度及び信頼性にすぐれ,早期の妊娠診断,子宮外妊娠の診断,切迫流産の予後判定,胞状奇胎や絨毛上皮腫のfollow-up等に応用可能である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-02-01
著者
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