胎動時胎児心拍変動からみた胎児予後

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High-risk pregnancy症例を適切に管理するには,胎児胎盤系の状態の把握および胎児予後の推定が必要な手段となる.そこで,われわれはこの面での追求を,胎動時の胎児心拍変動から行つた.胎動および胎児心拍数の検出・同定は,子宮内圧の変化(マイクロディスク法による内測法)と胎児心音計により,それぞれ行つた.母児ともに正常な経過をとつた33例の分析より,これらの胎児は,胎動時に18b.p.m.以上の一過性心拍加速Acceleration(Acc.と略)を,30分間に3回以上有することが判明した.この基準をもとに,High-risk pregnancy 193例のAcc.存否と胎児予後との関係を調べ,さらに一部についてOCT.,母体尿中E_3値および母体血中hPL値との関連も検討した. その結果,検査法として,Acc.の存否を識別できたのは,全体の77.2%であつた.また,胎動時のAcc.が欠如する症例には,胎児仮死、SFD,新生児仮死および生理的減少体重回復日数の延長が生じ易かつた.逆に,Acc.の存在する胎児の予後は良好であつた.一方,胎児胎盤機能検査との関係では,胎動時のAcc.存在とOCT.陰性との間に明らかな一致性がみられたが,母体尿中E_3値や母体血中hPL値とは一定の関係を認められなかつた. 以上の結果をもとにすれば,胎動時のAcc.観察により,胎児のhypoxiaの潜在や生後の適応性を推定する方法は簡便・適切であることが分かつた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-02-01

胎動時胎児心拍変動からみた胎児予後

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