Prednisolone-clomiphene療法による排卵誘発とその作用機序

概要

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副腎皮質機能正常な第1度無月経のうちclomiphene 150mg/日,5日間投与を連続3周期行つても排卵しないものをclomiphene無効例とした.無効例に対しprednisoloneとclomipheneを使用して排卵誘発を行う方法を発表し,あわせてprednisolone-clomiphene療法の排卵誘発機序と無効例の内分泌的検索を行つた.prednisoloneとclomipheneの投与法は,progesteroneによる消退出血,または月経開始第5日よりprednisolone 5mg/日,5日間続きclomiphene 150mg/日,5日間投与する順次投与法,出血開始第1〜2日からprednisolone 5mg/日を5〜10日間,第5日からclomiphene 150mg/日,第5日間投与する併用投与法,および両者の無効例にHCG 3,000〜5,000 IU/日,3日間の追加投与法によつた.血中LH, FSH, E_2, progesteroneはradioimmunoassayによる2抗体法で測定し,一部の症例にはLH-RH負荷試験を行つた.1) 順次投与法では投与症例6例中3例,投与周期数13周期中8周期に排卵が起こり,うち2例が妊娠した.2) 併用投与法では投与症例39例中31例(79.5%),投与周期数133周期中93周期(69.9%)に排卵が起り,うち9例に妊娠が成立した.3) HCG追加投与法では18例中12例(66.7%),投与周期数35周期中14周期(40.0%)に排卵が起こり,うち2例に妊娠が成立した.4) 本療法の作用機序はprednisoloneのgonadotropin分泌促進,LH surgeのtriggerとしての作用,および卵巣のgonadotropinに対する感受性増大効果に加えて,clomipheneのFSH, LH分泌促進作用と卵巣のgonadotropinに対する感受性増大効果が協調的に作用し,排卵が起こると推定された.5) 投与方式は併用投与法が順次投与法より理論的であり,秀れている.6) clomiphene無効の第1度無月経の多くはPCO症候群と考えられ,またclomiphene無効のPCO症候群の中にはLHのcyclic centerの機能不全が存在すると推定された.7) LH-RH負荷後のFSHの反応不良例は排卵率が低かつた.8) 本療法による卵巣の過剰刺激はほとんどなく,多胎妊娠もみられなかつた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-11-01

Prednisolone-clomiphene療法による排卵誘発とその作用機序

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