子宮頚部予備細胞のAlkaline Phosphatase Isoenzymesに関する組織化学的研究 : 耐熱性試験,L-Phenylalanine抑制試験を中心にして
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概要
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FishmanらによるRegan Isoenzymeは胎盤性Alkaline Phosphataseと酵素化学的に同一の性質を示す耐熱性ALPであり,各種悪性腫瘍患者の血清および腫瘍組織中にみいだされ,腫瘍細胞が異所的に産生するcarcinoplacental antigenとして注目されている.正常のヒト血清中にも,まれに,Regan Isoenzymeがみられるという報告があるが,その組織学的局在部位はいまだ不明である.一方教室の栗原らは,子宮頚癌の発生細胞と考えられる予備細胞にAlkaline Phosphatase(以下ALPと略)が局在することを組織化学的に証明した.著者はさらに耐熱性試験とL-Phenylalanine(以下L-Pと略)抑制試験を行ない,予備細胞ALPとRegan Isoenzymeとの類似性を検討した. 1. total ALPの陽性率は,予備細胞増殖に88.6%,未熟化生上皮に66.7%となり,頚管腺では,ectocervixにあるもの71.9%,endocervixにあるもの45.8%となり,また増殖期体内膜腺では100%,毛細血管内皮細胞では100%である. 2. 耐熱性試験およびL-P抑制試験 a)予備細胞,頚管腺のALPはともに耐熱性(65℃,30分)であり,0.03M L-Pに中等度から高度の感受性を示した.b)対照とした増殖期体内膜腺のALPは,65℃,15分の短い熱処理でもすべて失活して熱感受性であり,0.03M L-Pに対し,軽度から中等度の感受性を示した.また,毛細血管内皮ALPは熱感受性であり,L-Pに対して感受性を全く示さないものと,軽度から中等度の感受性を示すものとがある. 3. 正常組織と見做される予備細胞および頚管腺に,胎盤や癌に検出されたRegan Isoenzymeと類似のALPが存在していることを組織化学的に証明した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-02-01
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