早期 (妊娠32週未満) 早産の成因と胎盤病理の相関性に関する研究

概要

論文の詳細を見る
妊娠24週以降, 32週未満早産561例の早産(早期早産)に直接関係した成因を臨床診断的に9種類に分類し, それと胎盤病理所見との相関性を検討した. 1) 成因の分類内容は, (1) 前期破水228例 (40.6%), (2) 切迫早産204例 (36.4%), (3) 妊娠中毒症44例 (7.8%), (4) 子宮内胎児死亡31例 (5.5%), (5) 胎盤早期剥離17例 (3.0%), (6) 前置胎盤17例 (3.0%), (7) 胎児奇形14例 (2.5%), (8) 胎児仮死4例 (0.7%), (9) その他2例 (0.4%)であつた. 2) 早期早産の胎盤病理所見として絨毛膜炎 (35.1%), 後胎盤血腫 (18.0%), 胎盤梗塞 (13.0%)が多く認められた. 3) 絨毛膜炎は前期破水を成因とする例の58.3%, 切迫早産の26.0%に認めた. 4) 後胎盤血腫は胎盤早期剥離を成因とする例の70.6%, 妊娠中毒症の36.4%に認めた. 5) 胎盤梗塞は妊娠中毒症を成因とする例の86.4%, 胎盤早期剥離の35.3%に認めた. 6) 形態異常 (臍帯付着異常, 辺縁胎盤, 周郭胎盤)は早期早産成因との相関性は認めなかつた.
1988-07-01