マウス体外受精卵の移植成績に及ぼす環境因子と子宮内膜相関の検討
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概要
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ヒト体外受精卵移植における低着床率の原因を解明するために, マウスにて採卵同一個体間移植モデルを作製し, 分裂初期胚の子宮内移植における着床率および胎仔形成率につき受精条件, 培養期間を検討し, さらに異個体間移植グループと比較した. すなわち, マウス体外受精卵を体外培養系で培養し, 2細胞期, 4細胞期, 桑実胚期, 胞胚期の各期受精卵を採卵同一個体および異個体に移植し, 着床率, 胎仔形成を観察した. さらに, 受精・培養系における体外環境要因の胚に対する直接的影響を細胞遺伝学的に考察するために, 姉妹染色分体交換(SCE)を指標として胚の環境要因を, I. 体外受精・体外培養胚, II. 体外受精・生体内発育胚, III. 生体内受精・体外培養胚, IV. 生体内受精・発育胚の4群に分類して観察し, 以下の結果を得た. 1) 採卵同一個体移植モデルにおいて胞胚期では着床率20%, 胎仔形成率14.5%であつたが, 2細胞期〜桑実胚期では妊娠成立には至らなかつた. 2) 異個体間移植において, RecipientとDonorが同一stageの場合, 着床率の低下が認められたが, Recipientのstageを24時間遅延させると移植成績の向上が認められた. 3) Ciscoにおいて, II, IV群とI, III群において有意差(p<0.001)を認めたが, I, III群およびII, IV群間には有意差を認めなかつた. 以上のことより, 体外受精卵における着床率の低下は, 分裂初期胚の子宮内移植という非生理的環境および体外受精一体外培養卵の発育遅延が子宮内膜との不調和を引き起こすためと考えられる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-07-01
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