排卵日より起算した在胎日数と子宮内胎児発育
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概要
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排卵日より起算した在胎日数をもととして,周産期をめぐる母児の状態を明確にしようと試みた.すなわち分娩を終了した婦人でしかも基礎体温から排卵日を推定し排卵・分娩日数を算出できた214例を対象として,児体重の推移,これと母体重・身長との相関,合併症とくにCPD,胎児切迫仮死と在胎日数との関連などを推計学的に検討した.さらに排卵・分娩日数を基準とした予定日超過群を設定し検討を加えた. 排卵・分娩日数の平均は264.3±9.5日(M±S.D.)であり,最長日数は285日でこれを超過するものは見られなかつた.初産婦では経産婦に比し有意に排卵・分娩日数が延長し(p<0.05),また35歳以上でも同様に延長傾向がみられた.児の生下時体重・身長はともに排卵・分娩日数の延長に従つて増加した.児体重は母体重あるいは母身長と有意の相関を示したが排卵日より起算した予定日超過群においてはそのどちらとも相関関係を示さなかつた.SFD児の出生率は2.3%で,対照群に比し排卵・分娩日数が短縮する傾向を示しており,またSFD児出生母体の身長は有意に低かつた(p<0.01).排卵・分娩日数が平均値を15日以上こえる予定日超過例は17例(7.9%)で,最高の超過は21日であつた,Naegele算出法による予定日超過は20.2%に達し,排卵の遅延による"まぎれこみ"の多いことが判明した.排卵日起算による予定日超過群では初産の頻度が高く,母身長はすべて150cm以上,母年令は35歳以上が有意に多く(p<0.05),また胎児切迫仮死出現率が有意に高かつた(p<0.05).排卵・分娩日数の延長によるCPD発生の増加は認められなかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-08-01
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