体外受精における未受精卵の細胞遺伝学的検討

概要

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流産したヒトの初期胎芽では高頻度に染色体異常がみられる。この染色体異常の生成機序を解明するために卵子レベルでの染色体異常について調査した。IVF-ET施行の不妊患者52人, 計72周期から採卵された卵子のうち媒精後に未受精で残った260卵を漸進固定空気乾燥法 (美甘・上口法) にて標本化した。排卵誘発にはGnRHa-hMG-hCG法を用いた。183個の卵が第二成熟分裂中期の染色体像を示し, 退化卵, 分析不能卵を除いて149卵が核型分析された。染色体異常頻度は, 異数性異常15卵 (10.1%), 構造異常9卵 (6.0%), 倍数性異常5卵 (3.4%) であった。異数性の内訳は高数性8卵 (5.4%), 低数性7卵 (4.7%) であった。異数性異常を示した15卵のうち, dyadの数の異常は8卵で, 残りの7卵はmonadの過不足を示した。また, 分析可能であった149卵のうち23卵 (15.4%) でdyadのsplittingが認められた。今回の結果を, 卵子染色体標本作製法の違いと関連させて従来の結果と比較, 考察した。また, 異数性, 倍数性および構造異常の生成機序についても考察した。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1994-02-01