小児の術中気道確保法としてのラリンゲルマスクの再評価
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
挿入の容易さ,挿入に際して,また挿人後も患児に優しいなどの理由で急速に臨床場面での使用頻度が高まっていたラリンゲルマスク (以下 LMA) も使用開始から5年を経た静岡県立こども病院ではその使用頻度が retrospective にみた研究からこの3年間に減少していることか分かった.考えられる麻酔科医が敬遠している理由として,胃への吸入ガス流入を予防するため陽圧呼吸の際には常に吸気内圧に気を付けていなければならないこと,呼気炭酸ガス分圧から想像される高い血中炭酸ガス分圧値,常に胃からの逆流の可能性があること,合併症の発生なしで LMA を抜去する際にはある程度の熟練が必要なことなどが挙げられ,セボフルラン麻酔下では容易に筋弛緩薬なしに挿管できることも LMA が減少し挿管例が増加した理由と考えられた.鼠径ヘルニア手術では使用頻度の有意な減少がみられないこと,LMA 使用群での年齢,手術時間の3年前との比較から今後の LMA の使用される対象はより年齢の高い,手術時間の短い症例になっていくと考えられた.しかし LMA は今後も麻酔科医の選択できる気道確保法のひとつとして重要な地位を持ち続けていくことは確実である.
- 1996-12-20
著者
-
堀本 洋
静岡県立こども病院麻酔科
-
堀本 洋
静岡県立こども病院 麻酔科
-
黒嵜 明子
静岡県立こども病院麻酔科
-
吉岡 斉
静岡県立こども病院麻酔科
-
鈴木 明
静岡県立こども病院麻酔科
-
藤野 晋司
静岡県立こども病院麻酔科
-
吉岡 斉
順天堂大学麻酔科 : 順天堂大学小児外科
関連論文
- II-B-3 新生児期、早期乳児期における重症先天性心疾患に対する緊急手術
- 12.新生児遷延性肺高血圧症 (PPHN) に対し一酸化窒素 (NO) 吸入療法を施行した先天性横隔膜ヘルニアの1例(第6回日本小児呼吸器外科研究会)
- 当院での前投薬の現状と問題点
- 小児の術中気道確保法としてのラリンゲルマスクの再評価
- S-II-3 一般小児外科疾患を合併した先天性心疾患の治療方針と予後
- S1-4 縦隔リンパ管嚢腫を有する胎児の分娩と出生後の呼吸管理(主題 新生児,乳児外科疾患の周術期管理 , 第13回 日本小児外科学会秋季シンポジウム)
- C-94 術中の突然の換気困難 : 気管支痙攣発作中に気管チューブ閉塞を来した一例(麻酔)
- S-II-5 新生児横隔膜ヘルニア : PFCの診断と治療を中心に
- S-II-6 新生児期、乳児期の大動脈縮窄症、大動脈弓離断症に対する手術経験
- C16 当院におけるラリンゲルマスクの使用状況の変化
- 小児術後鎮痛手段としての Patient-Controlled-Epidural-Analgesia(PCEA)
- 3D16 患者自身が望む術後鎮痛法は?
- 原発性肺高血圧症患児の心臓カテーテル検査中に心肺蘇生を必要とした一症例
- 6.気管形成術により救命しえた喉頭気管食道裂の1手術例(第21回日本小児外科学会関東甲信越地方会)
- SS-5.LPEC法と切開法との術後の痛みの比較(スポンサードシンポジウム[八光]:鼠径ヘルニア,小児内視鏡手術,第24回日本小児外科学会秋季シンポジウム)
- 小児病院における手術・検査中危機的偶発症の検討
- 第8回日本小児麻酔学会(名古屋)
- QOL(Quality of Life)向上をめざした麻酔管理法へ
- 人工心肺中灌流圧上昇時のアムリノンの効果
- 当院での術後鎮痛の現状と問題点
- D39 P(Patient)C(Controlled)A(Analgesia)機器を用いた小児への術後硬膜外疼痛管理
- 51 新生児腹壁異常術後にみられた胸部レ線上肺水腫発生症例の検討
- 術後鎮痛をおもな目的とした小児に対する持続硬膜外ブロック
- 124 人工心肺が先天性心疾患児の肺換気力学に及ぼす影響について
- 2.食道閉鎖症(新生児外科と呼吸管理, I.パネルディスカッション, 麻酔と呼吸管理, 日本小児外科学会第5回秋季シンポジウム)
- 62 術後疼痛対策としての小児持続硬膜外ブロック
- 16.左横隔膜ヘルニア手術非施行例での HFO 療法の経験(第21回日本小児外科学会東海地方会)
- 小児の術後鎮痛管理 (日本麻酔学会第47回大会講演特集号) -- (リフレッシャーコース)
- 鎮痛・鎮静方法の選択の原則 (特集 小児の痛み) -- (鎮痛・鎮静--総論)
- 小児の麻酔関連合併症 (特集 麻酔の合併症と周術期のリスクマネージメント) -- (麻酔・全身管理手技にかかわる合併症)
- 新生児心疾患の麻酔 (特集 胎児・新生児の心疾患)
- 小児麻酔科学の最近の発達
- 76 呼吸管理中の事故抜管
- 子どもの検査・処置時の鎮静を安全に行うには
- 「小児麻酔と神経ブロック」によせて