当院での前投薬の現状と問題点
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概要
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今回当院で今現在行っている前投薬の現状を検討し,その効果などについて考察した.入院ならびに外来の生後 5 ヵ月から 18 歳までの 418 例を対象とした.乳児から 5 歳ぐらいまでにはミダゾラム 0.5 mg/kg を注腸 (M 注腸),幼児から小学校低学年にはミダゾラム 0.5 mg/kg を経口 (M 経口),小学校高学年にはベンゾジアゼピン系錠剤を経口 (錠剤経口) させた.手術室入室時の鎮静度,術後の健忘と麻酔導入後の胃液残量を prospective に調べた.鎮静度の分類は Karl らの behavior scoring system によった.適正な鎮静状態と考えられるスコアー 3 と 4 の頻度は M 注腸群が 72%,M 経口群が 85%,錠剤経口群は 83% だった.泣いて暴れて入室してくる頻度は M 注腸群では 13% と多かったが,平均年齢が他の群と比較して低いからではないかと推測された.臭い,色についての健忘率は 67,78% とほぼ満足する結果を得た.しかしまだ 100% ではないこと,ミダゾラム投与後は術後興奮の頻度が高い,との報告もあること,錠剤経口による前投薬の効果は数字上よりも低いとの麻酔科医の評価もあり,今後改良の余地があると考えられる.胃液残量は M 注腸群が平均 0.22 ml/kg,M 経口群が 0.36 ml/kg,錠剤経口群が 0.34 ml/kg だった.アトロピンは必要に応じて麻酔担当医の判断で静注されたが,その頻度は 9.6% だった.しかし前投薬に入れられていた方が良かったと麻酔科医が考えた症例は全体の 1/4 に留まった.
- 1997-10-20
著者
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堀本 洋
静岡県立こども病院麻酔科
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堀本 洋
静岡県立こども病院 麻酔科
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黒嵜 明子
静岡県立こども病院麻酔科
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水村 郁
静岡県立こども病院麻酔科
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宝積 健
静岡県立こども病院麻酔科
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小幡 良次
静岡県立こども病院麻酔科
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