狭骨盤の三次元的検討 : 二段骨盤撮影法
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概要
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本邦においては, 狭骨盤の概念は入口部における径線を主としたものであり, 日本産科婦人科学会用語問題委員会の定義も, 入口面のみにしか言及していない. この狭骨盤は, 少なくとも仙骨の要素も含んで立体的に検討がなされるべきで, 入口面の面積と, 入口面以下での仙骨の変形の有無の2因子によって簡単に定義することが可能である. 今日の本邦においては, クル病などに由来する高度の骨盤奇形は皆無で産科真結合線が9.5cm未満の婦人もほとんどいない現状を考えるとき, 狭骨盤の概念を新しく規定することが必要である. 以上のことを念頭におき本研究を行った結果, 1. 第一段として入口面撮影を行い, 入口面面積が110cm^2以上であれば, 大部分 (約97%) は経腔分娩が可能なので狭骨盤はないと考えてよい. 2. 入口面面積100cm^2未満では帝切の頻度は70.6%と極めて高いので, 臨床的にこのグループは経膣分娩不可能の狭骨盤と考えるべきである. 3. 入口面面積100以上110cm^2未満の群は立体的に狭骨盤を構成する可能性があり, 仙骨の変形のあるときは約半数に帝切が必要となるが, 変形がなければ, その大部分 (約95%) は経腔分娩が可能である. 日本産科婦人科学会の定義では入口面が"正常骨盤"と分類されても, 我々の成績では仙骨に変形のあるときは, その約50%は帝切となり, ない時は約25%が帝切となる. 4. まず使用線量の少ない骨盤入口面撮影のみを行ってリスクグループを抽出し, このグループのみに放射線線量の多い側面像撮影を実施する二段骨盤撮影法により, 妊産婦や胎児の被曝線量を大幅に減少させることが可能である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-06-01
著者
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