パルス超音波照射と初期胚発生に関する研究
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概要
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パルス超音波照射の初期胚発生に及ぼす影響の有無を知るために, マウス着床前初期胚の発生率と核酸合成能を指標として本研究を行つた. B6C3F_1, 雌マウスを過排卵処理ののち, 同種雄マウスと交配し, その22時間後に卵管膨大部より1細胞期胚を採取した. 採取直後の1細胞期胚と, さらに体外で24時間, 72時間, 96時間培養して得られた2細胞期胚, 桑実胚および後期胚盤胞を実験に供した. それぞれの胚をプラスチック製ストロー内に封入後, 搬送周波数2.0MHz, パルス繰り返し周波数1.0KHz, パルス幅10μSecの超音波を37℃脱気水中で15分間照射した. パルス超音波の強度ISATA, ISPTA, ISPPA, ImおよびPrは, それぞれ120mW/cm^2, 260mW/cm^2, 26W/cm^2, 30W/cm^2および1.0MPaであった. このパルス超音波照射の条件では, ストロー内培養液の温度上昇は起こらなかつた. パルス超音波照射ののち, 24時間ごとに胚の形態学的観察を行つたが, いずれの発生段階の初期胚においても発生遅延は認めなかつた. パルス超音波照射後の後期胚盤胞への発生率, その後期胚盤胞におけるDNAおよびRNA合成能ともに非照射の対照群との間に差を認めなかつた. マウス初期胚をモデルとした成績より, 今回の実験で使用したパルス超音波音響強度以下の照射は初期胚に対して安全であり, その後の発生に悪影響を及ぼさないことが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-02-01
著者
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