ヒトのアリルスルファターゼAの分子構成と癌性変化に関する研究
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概要
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ヒト胎盤, 卵巣, および卵巣癌組織からアリルスルファターゼA (ASA)を精製した. 精製したASAは, SDS存在下でポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で, 分子量およそ58kDa, 50kDa, 10kDaを示す異なるペプチドから成つていた. プロテインシークエンサーによる解析で, 58kDaと50kDaのペプチドのN末端側配列は一致した. 58kDaと50kDaのペプチドマップのパターンはいくつかのピークを除いて極めて近似した. それらの異なるピークのペプチドを解析すると, 50kDaのペプチドは, cDNAから推定されるアミノ酸配列上の445番目のValからC末端までの部分を欠いていた. 10kDaのバンドは異なる4個のペプチドからなり, それらはcDNAから推定されるC末端側近傍の配列を有していた. これらの結果より, 50kDaと10kDaのペプチドは, 58kDaと同一のペプチドからproteolytic processingによつて生じたと考えられる. ヒト卵巣から精製したASAは, SDS-PAGE上でヒト胎盤ASAと同様の泳動パターンを示した. 卵巣癌由来のASAは, 主に58kDaのバンドからなり, 50kDaのバンドが減少していた. さらに卵巣癌由来のASAでは正常卵巣のASAに比して, endo-β-N-acetylglucosaminidase H抵抗性の糖鎖が増加していた. これらの結果より, 卵巣癌においてASAの蛋白部分および糖鎖の両方にprocessingの変化を生じることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-07-01
著者
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