Glycosylated hemoglobin A_<1C> (HbA_<1C>)からみた糖尿病調節状態と胎盤の形態的変化
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概要
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糖尿病を合併した妊娠についての周産期合併症として, 子宮内胎児死亡や tomato baby などの胎児あるいは新生児の合併症さらに, 巨大胎盤のほかに未熟絨毛の報告がある. そこで, 今回われわれは妊娠中の糖尿病母体のインスリン療法などによる血糖コントロールと胎盤の重量および絨毛の異常について検討した. 対象は日本糖尿病学会の診断基準に従つた糖尿病合併妊娠の胎盤27例である. 母体の糖尿病のコントロールの評価は妊娠中の glycosylated hemoglobin A_<1C> (以下 HbA_<1C>と略す) の値を用いた. trimmingした胎盤の重量で600gを超える巨大胎盤は1例もなかつた. しかし, 妊娠中 HbA_<1C>が最高5.6%以上の症例では明らかに正常と比べて重かつた. 病理学的な検討では, 未熟絨毛が27例中18例に認められ, 異型絨毛は27例中4例に認められた. 27例の糖尿病のコントロールとの相関をみるために妊娠中の最高の HbA_<1C>の値で5.0%以下, 5.1〜5.5%, 5.6%以上の3群に分けてみると, HbA_<1C>値5.0%以下の4例には未熟絨毛も異型絨毛も認められなかつた. HbA_<1C>値 5.1〜5.5%の5例には2例の未熟絨毛は認められたが, 異型絨毛は1例も認められなかつた. HbA_<1C>値5.6%以上の18例には16例の未熟絨毛と4例の異型絨毛の合併があつた.その他27例の中で絨毛の fibromuscular sclerosisが3例, 絨毛血管の chorangiosis が4例, chorangiomaが1例認められた. 以上の結果により, 妊娠中の糖尿病のコントロールとして, HbA_<1C>の値で一度も 5.0%を超えないほどの厳格さが重要であることが胎盤の重量だけでなく胎盤の組織所見からも示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-06-01
著者
-
中山 雅弘
大阪府立母子保健総合医療センター検査部
-
木戸口 公一
大阪府立母子医療センター
-
有沢 正義
平塚市民病院
-
有澤 正義
都立大塚病院
-
有澤 正義
大阪府立母子医療センター
-
中山 雅弘
大阪府立母子保健総合医療センター
-
木戸口 公一
大阪府立母子保健総合医療センター
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