子宮頚癌治療に伴う各種腫瘍マーカーの変動からみた臨床的有用性の検討 : とくに手術および放射線治療について
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概要
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昭和60年1月から昭和62年1月までの間に子宮頚癌(扁平上皮癌)188例のうち, 手術療法89例と放射線療法47例に治療前後の血中CEA, SCC, TPA, IAP値を測定し, その変動と再発率から臨床的有用性について検討するとともに細胞診, 組織診での照射効果を検索した. 1. CEA, SCC, TPA値の治療前陽性率ではIIb期で28.6%, 64.3%, 64.3%, IIIb期で35.7%, 72.4%, 64.3%, IV期では60.0%, 100.0%, 100.0%で, とくにSCC値は再発例では58.8%, 非再発例では全例陰性であった. 2. 手術および放射線治療前後の腫瘍マーカーの変動をみると, II期の手術群ではSCC値, 放射線治療群でTPA値, IIIb期の放射線治療群ではCEA, SCC値に有意な減少が認められたが(p<0.01), IAP値は手術群ではむしろ上昇傾向を示した. 照射前, 20Gy, 50Gy, RALS照射後の変動ではCEA, SCC, TPA値ともに50Gy, 照射後において照射前に比し, 有意に減少した(p<0.01). 治療前陽性例の手術前後の変動ではCEA, SCC値はすべて陰性化し, IAP値は術後一定の傾向はみられなかった. 放射線治療前後の変動ではCEA, SCC, TPA, IAP値の陰性化率は80.0%, 75.0%, 55.6%, 50.0%で, 極めて高値を示した進行症例で20Gy照射時にCEA, SCC値が一過性に上昇した. 3. 子宮頚癌放射線治療経過に伴う細胞診, 組織診変性効果を検索すると20Gyで細胞診, 組織診ともに92.0%の陽性率, 50Gyで48.1%, 42.9%の陽性率であったが, 照射終了時には95.6%, 86.7%と高い陰性化率を示した. 4. 子宮頚癌IIIb期照射前症例24例における血中CEA, SCC, TPA, IAP値の陰性群と陽性群での再発率の検討ではCEA値においてそれぞれ31.3%, 62.5%と有意差がみられた(p<0.01). 以上より子宮頚癌治療のモニタリングにはCEA, SCC, TPAを組合せてその予後を正確に予知し, とくに放射線照射終了時にコルポスコープによる最強病変の生検を併用して照射効果を確認することが重要と思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-05-01
著者
-
横山 隆
国立病院機構四国がんセンター
-
日浦 昌道
国立病院四国がんセンター
-
千葉 丈
国立病院四国がんセンター
-
横山 隆
国立病院四国がんセンター
-
中西 慶喜
国立病院四国がんセンター臨床研究部
-
茗荷 浩志
国立病院四国がんセンター産婦人科
-
頼島 信
国立病院四国がんセンター産婦人科
-
田中 基史
国立病院四国がんセンター産婦人科
-
田中 基史
国立病院四国がんセンター婦人科
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