血液凝固線溶動態よりみた妊娠中毒症の重症度解析および発症予知に関する検討
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概要
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妊娠中毒症の成因, 病態を血液凝固線溶系の変化から追求することが最近試みられている。そして凝固系は冗進状態にあるとされ, 線溶系もそれにつれて変動すると推測されているが, いまだ一定の見解をうるに至っていない。本研究は, 血液凝固線溶動態の観点から妊娠中毒症の重症度解析ならびに発症予知の可能性に関して検討を行なった。実験対象は正常非妊婦10例を対照群として当科で妊娠初期より追跡し, 分娩に至った正常妊娠群54例, 妊娠中毒症発症群24例と, 発症時点で当科へ紹介, 入院治療の対象となった純粋型重症妊娠中毒症28例の合計116例である。これらの症例を各群別に比較検討し次の結果を得た。1. 正常妊娠群では妊娠経過とともにFPB_<β15-42>が最初に, 次いでFPAの有意の増加が認められ, 妊娠により凝固線溶系が冗進していると考えられた。2. 妊娠中毒症重症発症群では, 正常妊娠群と比較して, 2nd trimesterにAT-IIIの減少, プロテインCの増加, Htの上昇が認められ, 妊娠中毒症の発症前に凝固系の変動がとらえられた。このことより, 発症に凝固線溶系が関与している可能性が示唆された。また, 従来いわれていたヘマトクリットのほかにこれらの因子の変動を追跡することが妊娠中毒症の発症予知に対し有用である可能性がある。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-01-01
著者
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