補助ループ付き2重Shirodkar法

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540例の頚管無力症においてShirodkar原法とわれわれが考案した2重Shirodkar法との手術成績を比較したところ, 有効率 (生児獲得率) は前者で82%, 後者で94%と, より高い位置で頚管を縫縮できる2重Shirodkar法が有意に有効率が高いことが判明した。とくに重症の頚管無力症たる腟内膨隆胎胞形成例に対しては, Shirodkar原法では38%の有効率に過ぎなかったが, 2重Shirodkar法では82%という高い有効率を得ることができた。このように, 膀胱を剥離して高い位置で頚管を縫縮するほど, 有効率は高くなるが, 反面, 縫縮糸の抜糸は, それだけ困難になるという大きな矛盾がある。そこでさらにわれわれは, 2重Shirodkar法の二つの縫縮輪を頚管後面に露出させて, 補助ループ (テフロンテープ) を通しておく新術式を考案した。すなわち抜糸の時には, 後方の補助ループを牽引することにより, 二つの縫縮輪を頚部後方腟内に露出させて, この2本の縫縮輪を後方で同時に切断する。次に前方に露出している2組の縫縮輪の結紮糸端を牽引すれば, 2本の縫縮輪は容易に抜糸できる。この新術式を「補助ループ付き2重Shirodkar法」と名付けたが, 2重Shirodkar法 (132例) では26%の抜糸困難例があったが, 補助ループ付き2重Shirodkar法 (31例) では, 抜糸困難例は0%であり, 満足すべき結果を得ることができた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-02-01

補助ループ付き2重Shirodkar法

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