ヒト卵巣類内膜癌由来細胞株HOC-Iの樹立とその性状
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ヒト卵巣類内膜癌由来の培養細胞株HOC-Iを樹立し, その細胞生物学的性状を解析した。細胞は卵巣類内膜癌再発患者より摘出した腫瘍組織より得られ, 37℃, 5%CO_2下で10%FCS添加RPMI1640を培地として静置培養された。現在まで安定した増殖を示し, 55代の継代に成功。1) 細胞は多稜形で敷石状に増殖し, 重積傾向もみられた。細胞質内にPAS陽性物質を認めた。電顕では細胞内小器官の発達がよく, 細胞表面にはmicrovilli, desmosomeなどが観察された。2) 増殖倍加時間は約75時間であった。染色体分析では, すべてヒト型の染色体を示し, モードは46であった。3) ヌードマウスへの細胞移植によって容易に腫瘍を形成し, その組織像は原腫瘍と一致した。4) 100 pg, 1 ng, 10 ng, 50 ng, 100 ng/mlのestradiolの負荷で細胞のDNA合成が促進, またprogesteroneの負荷ではDNA合成が抑制され, 本培養細胞の増殖におけるホルモン依存性が認められた。5) EIAによるestrogen receptor (ER) の検索では細胞質, 核内とも10 fmol/mg protein以下ではER は認められなかった。またER-ICAキットによるPAP法でも細胞中にERは染色されなかった。6) 1×10^6個の細胞を4日間培養した時, 培養液中にCA125 8,500U, TPA 21,500Uが放出され, 本培養細胞の産生能が認められた。
- 1989-02-01
著者
関連論文
- 異所子宮内膜腺管培養細胞と卵巣癌培養細胞より分泌されるCA125の分子heterogeneityに関する研究
- 261.HBウィルス母児間感染の予防 : 地域内キャリアー撲滅へのアプローチ : 第52群 感染症など II(258〜263)
- 11 ヒト卵巣類内膜癌培養細胞株の樹立とその増殖におけるホルモン依存性の検討
- 絨毛癌患者Tリンパ球の自家癌培養細胞に対する細胞傷害能 : 夫リンパ球による誘導
- 48. 簡易制癌剤感受性試験の検討(Viabilityのphotometerによる定量化) : 第7群 診断・検査
- 231. 絨毛性疾患におけるEtoposide (VP16-213)の有効性の検討 : 第40群 絨毛性疾患 III
- 221. 絨毛性疾患におけるSmall molecular size immunoreactive hCG (IR-hCG)の性格 : 第39群 絨毛性疾患 II
- 97.絨毛癌患者Tリンパ球の自家癌培養細胞株に対する細胞障害能 : 第16群 免疫 I (91〜97)
- 312.産婦人科手術における血中PRLおよびTRHの分泌動態に関する研究 : 第63群 内分泌の臨床 VI(310〜313)
- 絨毛癌に対するEtoposideの抗腫瘍効果についての基礎的, 臨床的研究
- クリスタルヴィオレット取り込みを指標とした簡便な制癌剤感受性試験
- 249 卵巣原発Carcinoidに於けるCalcitonin
- 79 胎盤性Phosphodiesteraseによる血小板凝集抑制
- 194. 胎盤性5'-Nucleotide PhosphodiesteraseによるADP分解 : 第34群 内分泌 VI
- ヒト卵巣類内膜癌由来細胞株HOC-Iの樹立とその性状