胆道閉鎖症肝組織の術後推移に関する超微形態的研究 : 特に基底膜形成について
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概要
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胆道閉鎖症(以下本能)肝門部腸吻合術後の肝組織の推移を超微形態的に検討する目的で,肝硬変化の不可逆的進行を意味するものと重要視される`類洞の毛細血管化' 即ち類洞内皮下の基底膜形成をはじめとする各種の基底膜に注目し,電顕による病理組織学的な検討を行った.対象は肝門部腸吻合術後黄疸が消失し経過良好な8ヵ月〜3歳の16例と,1〜16歳の黄疸を有する経過不良例4例で,前者は根治術時と黄疸消失後の少なくとも2個の外科的生検で得られた肝組織を用いた.観察方法は通常の透過型電顕を用いた.以下3様の異常な基底膜の形成を見いだした.○!1 類洞内皮下の基底膜:根治術後黄疸消失が得られず高度黄疸の持続した1例で厚い基底膜が認められたが経過良好例では肝線維化が高度でも小葉に広く認めた例は無かった. ○!2 小葉限界板肝細胞表面の基底膜:黄疸消失例では正常と同様出現を見ない症例から広範に出現している例まで種々の程度に見られたが,限界板の不整な何で広く形成される傾向があった.肝線維化の程度との関連は見いだせなかった.○!3 胆管基底膜多層化:増生胆管のほか,黄疸消失例で正常に近い小型小葉間胆管にも多層化した基底膜が観察された.以上より,本症の術後黄疸消失例ではすくなくとも2〜3歳までは,類洞の毛細血管化は広範には認められず,肝線維化が進行したようにみえても,超微形態的には不可逆的肝硬変に至っているとは言えなかった.また小葉限界板基底膜の出現や多層化胆管基底膜の存在は,限界板の肝細胞や胆管上皮細胞に対する障害因子の存在を示唆すると推測された.
- 日本小児外科学会の論文
- 1997-02-20
著者
-
大井 龍司
東北大学小児外科
-
仁尾 正記
東北大学小児外科
-
後藤 真
東北大学小児外科
-
遠藤 尚文
東北大学小児外科
-
岩見 大二
東北大学小児外科
-
遠藤 尚文
仙台赤十字病院小児外科
-
後藤 真
道立小児総合保健センター小児外科
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