幼児の有酸素的作業能に関する研究(III)
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概要
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幼児のV^^・<O_2>max判定基準を明きらかにするため4〜5才の男子,女子それぞれ5名を対象として,トレッドミルを用いまず傾斜0°,持続時間3分に固定し,そして負荷強度としては100m/minを最初の走行速度とし日を別にして20m/minずつ増加することにより3分問持続できなくなるまでの数種の走行速度をあたえ,これらの心拍数,V^^・<O_2>及びRQなどの変化過程を検討した。また同時に幼児の持久走を安全に指導できるような基礎的な手掛りをも得ようとしたものであり,主として次のような所見が得られた。1)男子,女子ともに心拍数及びV^^・<O_2>からみて100m/min,120m/min及び140m/minにおいて定常状態としてのプラトーがみられたが,その心拍数において女子が男子よりも高く,V^^・<O_2>に関しては全く逆の傾向がみられた。2)男子では最終段階の走行速度200m/minにおいて運動開始後30秒,女子では180m/minにおいて60秒で,V^^・<O_2>maxに達している。したがって幼児では運動強度が十分大きければ運動開始後30〜60秒でV^^・<O_2>maxが発現される。3)2分30秒は過ぎたが3分までは走り切れなかった男子,女子1名をのぞき3分間走り切った最終段階前段の走行速度,男子180m/min,女子160m/minにおいてV^^・<O_2>の上限としてのプラトーすなわちV^^・<O_2>maxがみられた。4)V^^・<O_2>max発現時の心拍数は202.4〜206.4bpmであり,またRQもすべて1.Oを上回っている。したがってこれらの数値はV^^・<O_2>max判定の有力な基準になるものと思われる。5)運動強度が大きい場合に呼吸数は運動開始と同時に急速に高まり,最初の30秒間で60〜90回/分にも達している。6)有酸素的定常状態を安全な強度とすれば,幼児の持久走導入の段階では3分間持続では140m/minの走行速度が上限と考えられる。
- 日本体力医学会の論文
- 1981-04-01
著者
-
中村 仲
筑波大学・大学院
-
漆原 誠
栃木県トレーニングセンター
-
吉沢 茂弘
宇都宮大学教育学部
-
本多 宏子
国学院大学栃木短期大学
-
中村 仲
栃木県トレーニングセンター
-
本多 宏子
國學院大学栃木短期大学
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