体操訓練の柔軟性に及ぼす実験的研究 : その8
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概要
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前報^<1~2)>の研究結果を総合して考案すれば、身体柔軟性を高めるには、椎間板の伸展側(前屈にあっては背側の椎間板、後屈では腹側)のひらきを大きくすること、つまり椎間腔の可動性を増すことであり、これに協応して筋収縮力を高め、同時に伸筋の伸張力を増大することにあると考える。そこでこれらの要因を考慮の上、特別処方の柔軟体操(筆者考案)を実施することによって、柔軟性は高められるか否かの実験的研究を行った。A.統計学的考察より1.柔軟体操を毎日続けて約2週間以上行なえば,柔軟性(体前・後屈,左右屈)が高まる。すなわち次のごとくである。a)実験群における乎均増加量の有意性は,t検定によりα=0.05で有意差が認められたが,対照群のそれは認められなかった。b)体操開始2週間後の実験群の乎均値は対照群のそれより高い値を示した。これはt検定の結果α=0.05で有意の差が認められた。c)体操実施後の側定で,実施前の側定より高い値を示したものの割合は,実験群において高く,その好転は著しく全被検者がのびを示していた。対照群では乎均40%にすざなかった。2.実験群の第1回目(体操実施前)測定における最低者ののびは,著しいのび率を示したが,最高者ののび率は低く顕著なのびを示さなかった。このように最高者ののびが低かったのは,この年令・性における柔軟性の生理的限界<36)>,に違しているもののように推側される。B.筋電図学酌考察より1.柔軟体操実施後の被検筋の放電様相は,実施前の筋電図に比し放電の振幅はいずれも増大を示し,しかも密に強い放電がみとめられた。2.体操実施後のEMGでは新たな補助筋の参加が現われ,また拮抗筋の放電が休止し,柔軟性関達筋の協調と機能の強化がみられた。これは前回報告^<1~2)>の軟高者のEMGと同様な放電傾向を示すものである。すなわち合理的柔軟体操にょるtraining前のEMGに比し顕著な関連筋の作用の改善が認められた。
- 日本体力医学会の論文
- 1967-09-01
著者
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