グリップトルク計による捩り動作時の把持力およびトルクの解析 : 発育期の体力に関する基礎的研究

概要

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回外,回内,外反,内反などの関節を捩る基本動作による筋力測定法を開発し,より総合的な意味での筋力評価に役立てると共に,動作分析にも応用することを目的として,グリップトルク計を試作し,検討した.得られた結果をまとめると以下のようになった.1)右手利き者を対象として,グリップトルク計による各種測定結果の特徴を検討した.2)捩り把持力は,実際に力のかかる方向の力ではなく,グリップトルク計の把持力検出部にかかる垂直分力としてみなければならない.3)左手と右手の平均把持力{(LH・HS+RH・HS)/2}および左手前方と右手前方捩りの平均捩り把持カ{(LF・HS+RF・HS)/2}の年代別平均値は,男性が30歳代,女性が20歳代で最大値に達した.その後,男性は加齢により除々に低下しながらも,40歳以後の測定値は,ほぼ一定であったが,女性は加齢とともに徐々に低下した.4)左手前方と右手前方捩りの平均トルク{(LF・T+RF・T)/2}の年代別平均値は,男性が30歳代で最大値に達し,その後加齢とともに低下した.しかし,女性は,20歳代までの発達後は,加齢による顕著な低下が認められなかった.5)左手前方と右手前方の平均捩り把持力は,左手と右手の平均把持力の約1.09倍であった.6)左手前方および右手前方捩り把持力は,いずれも右手の方が左手よりも有意に大きな値を示した.7)左手前方振りトルクはリ右手前方振りトルクよりも,有意に大きな値を示した.8)左手前方捩りトルクは右手の把持カと,右手前方捩りトルクは左手の把持力と高い相関を示した.9)グリップトルク計を捩る動作時には,後方へ捩る側の手が前方への振り動作を支持することになる.このため,支持する手の把持力の強い時に,大きなトルクが発生される.本実験では,左手前方捩りトルクが最大となった.10)グリップトルク計把持力部の一端を万力に固定し,対側を左手又は右手のいずれかで把み,捩る場合には,左手および右手ともに,後方よりも前方への捩り把持カとトルクが大きな値を示した.11)万力固定による片手のみの前方捩りトルクは,両手による前方捩りトルクよりも,はるかに高い値(p<0.001)を示した.12)万力固定によるグリップトルク計の絶対的な支持下では,発揮されるトルク値が捩る手の把持力に影響された.13)左手と右手の平均把持カ,左手前方と右手前方振りの平均挨り把持力および左手前方と右手前方捩りの平均トルクの間には,それぞれ高い相関々係(p<0.001)が認められ,強いトルク発揮には強い把持力が必要であることが理解された.
日本体力医学会の論文
1985-12-01

グリップトルク計による捩り動作時の把持力およびトルクの解析 : 発育期の体力に関する基礎的研究

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