幼児の選択的注意課題遂行における知識の役割
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概要
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本研究の目的は, 注意が刺激に関する知識によって特定情報へ誘導されることを示すことであった。実験1では, 4・6歳児を対象に, 選択的注意課題の遂行と, 課題の刺激に関する知識の有無との関連を検討した。選択的注意課題として, 知覚的関係に基づいて解決する課題(知覚的関係課題)と, 概念的関係に基づいて解決する課題(概念的関係課題)の2課題を施行した。また, 知識測定課題として, 刺激のカテゴリー分類と関連付けの知識を測定した。その結果, 刺激に関する知識の所有とその適切利用がなされれば, 適切情報の選択が可能になることが示唆された。これらの詳細を確かめた実験2では, 4・5・6歳児を対象に, 幼児が概念的な知識をほとんどもたない刺激(漢字刺激)を用い, 刺激に関する知識2種(特殊的知識・一般的知識)を訓練学習(実験群)させ, その直後, 近接般化課題と遠隔般化課題を実施した。また, 同様の課題を2ヶ月後に再び実施した。その結果, 知識がないと注意が適切情報へ全く誘導されないこと, 知識があれば, 注意は適切情報へ誘導されるが, 知識の獲得・利用に年齢差があることが示された。その年齢差を生起させる要因として, 利用する知識内容の違いが考えられた。以上の結果は, 方略産出の観点から考察された。
- 日本教育心理学会の論文
- 2000-03-30
著者
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