幼児の性役割行動の習得に及ぼすモデルの効果 : 言語的手がかりと視覚的手がかりを中心に
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概要
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本研究の第1の目的は,幼児が新しい性役割行動をモデルの観察によって習得する際のモデルの効果について,モデルの示範行動(視覚的手がかり)とモデルが発する言語的手がかりの2つの面から実験的に検討することであった。第2の目的は,性役割の習得の程度に関してどのような性差がみられるかを明らかにすることにあった。 被験児は,幼稚園児で年長児群,男児55名(平均6才Oか月),女児55名(5才11か月),年少児群,男児57名(5才0か月),女児37名(5才0か月)からなる。実験群の幼児は,モデルが中性玩具で遊んだり,あるいは,中性玩具に対して「男の玩具」,「女の玩具」といった言語的手がかりを与えるのをVTRで観察した後,中性玩具で自由に遊ばされ,その行動が観察された(5分間)。結果の分析は,モデルが玩具で遊んでいるのを観察するという視覚的手がかりとモデルが発する言語的手がかりが,幼児の玩具遊びにどのように影響するかについてなされた。 主な結果は,次の通りである。 (1) モデルの示範行動(視覚的手がかり)に言語的手がかりがつけ加えられると,新しい性役割行動を習得する上で効果が大きかった。特に,言語的手がかりの重要性が示された。 (2) 年少児より年長児の方が,性役割行動を習得する上でモデルの観察効果が大きく,また,より分化した性役割行動を示す。 (3) 表面的なレベルでは,女児より男児の方がより分化した性役割行動を示すが,より内面化された性役割に関しては,女児の方がより安定していることが示唆された。
- 日本教育心理学会の論文
- 1978-09-30
著者
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