学級における教師のリーダーシップ行動の自己評定と児童評定の関連に関する研究
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概要
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本研究の目的は,学級集団における教師のリーダーシップ行動に関する教師の自己評定と児童評定との関連を検討することである。 小学校5・6年生2469名(67学級)と,その担任教師67名を対象に,質問紙調査を行った。主なる結果は,次の通りであった。 1.教師の自己評定と児童評定の結果を因子分析にかけ,それぞれ5因子を有意味な因子として抽出した。そのうちで,「生活,学習における訓練・しつけ」,「社会性,道徳性に関する訓練・しつけ,」「教師の児童への配慮」の3因子が,両評定に共通して見出された(TABLE3)。また,各5因子を三隅(1964)のPMリーダーシップ論に基づいて,P因子とM因子にわけ,その相対分散寄与率を比較した結果,自己評定のP因子の寄与率は,M因子の2倍強であるのに対して,児童評定のP因子の寄与率は,M因子より若干低かった。 2.三隅ら(1976, 1977)によって作成された,教師のリーダーシップ測定項目(P, M各10項目)に対する自己評定と児童評定値の比較の結果,両評定の間に認知的不一致が見出された。つまり,自己評定値は,児童評定値よりもP得点,M得点ともに有意に高かった(TABLE4)。 3.自己評定値と児童評定値との相関は,P得点においては高いが,M得点においては低かった。また,自己評定値のP得点とM得点の相関は高いが,児童評定値のP得点とM得点の相関は低かった(TABLE7)。 4.自己評定によるリーダーシップ類型と児童評定による類型との関係を検討したところ,自己評定でPM型またはP型と評定した教師は,児童評定においてもPM型またはP型と評定されることが多かった。しかし,M次元に関しては,自己評定と児童評定とはかなり独立していた(TABLE9・10・11)。 以上の結果より,教師の自己評定と児童評定は,リーダーシップP次元に関しては,質的に類似したリーダーシップ空間を構成しているが,M次元に関しては,かなり異なったリーダーシップ空間を構成しているのではないかと考察された。
- 1978-03-30
著者
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