非生産部門における情報装備の経済効果に関する定量分析
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概要
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企業が情報システムを導入する目的は大きく分けて2つある。1つは業務効率化による不要なコストの削減であり,もう1つは新たな付加価値の創出である。前者は,企業が常に取り組んできた至上命題であり,情報システムはこれに大きく貢献してきた。しかし,たとえ不要なコストがゼロになろうとも,製品・サービスが売れなくては企業は存続できない。いま企業に求められているのは,むしろ後者の側面であろう。新たな付加価値の創出には,企業内の非生産部門が情報装備をいかに活用できるかがポイントとなる。本論文は,情報化の効果を業種レベルで定量的に分析することを目的としている。そのために,情報化の進展度合いを示す指標として「情報装備率」を定義し,それが一人あたりの付加価値額(労働生産性)にどのような影響を及ぼしてきたかを,業種別に成長会計とDEA(Data Envelopment Analysis)を用いて分析検討した。その結果,分析した多くの業種で,1980年代後半に比べて1990年代の情報装備の貢献が低下していること,ならびに1990年代において,情報装備と非生産部門における労働投入両方にスラックが多く存在することが判明した。これは,我が国において非生産部門が情報装備を活用できていない可能性を強く示唆するものである。
- 日本社会情報学会の論文
- 2004-03-31
著者
-
廣松 毅
東京大学大学院総合文化研究科
-
大平 号声
東京国際大学
-
小林 稔
和光大学
-
坪根 直毅
大和総研
-
栗田 学
大和総研
-
廣松 毅
東京大学教養学部・先端科学技術研究センター教授
-
大平 号声
東京国際大学経済学部
-
廣松 毅
東京大学 先端科学技術研究センター
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