産業/企業におけるIT(情報技術)導入の効果とその計測

概要

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わが国では1980年以降,IT(情報技術)の導入が産業/企業レベルで積極的に進められるようになった。しかし,80年代後半に米国の経済学者ロバート・ソローらは,情報システムの導入による生産性の向上はみられないとする「生産性のパラドックス」を展開し,安易なIT導入に対して警鐘をならした。一方,1991年以降の米国経済は,IT産業の育成に政策的に注力した結果,2001年に至るまでの約10年の長期に渡り好調に推移し,FRBのグリーンスパン議長により,その主因はITの導入であるとする「ニューエコノミー論」が提唱されるに至った。ここで問題となるのは,わが国において80年以降の産業/企業におけるITの導入が,企業経営にどのような影響を及ぼしているのかが明確になっていないことである。特に1980年代後半に急拡大した情報化投資の効果はどうであったのか,また1995年以降の情報ネットワークの利用拡大の影響はどうであったのかを分析することが急務である。私達研究グループは,1997年からこれまでに,IT導入の経済的効果を,産業別に計測してきた。本稿では,上記の問題提起に対する研究成果の一部として,80年以降のIT導入による経済的効果の計測結果を方法論別に3例紹介する。その上で本稿では,各計測法による結果を総合的に分析検討し,背景となるITの動向を考慮しながら80年以降のわが国の産業/企業の情報化とその効果について考察する。
日本社会情報学会の論文
2001-09-30

産業/企業におけるIT(情報技術)導入の効果とその計測

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