コマツナとホウレンソウの個体レベルでの耐凍性の評価
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概要
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葉菜類の実際栽培に適用しうる耐凍性の電気伝導度法による評価法を確立するため, 異なった温度条件で低温馴化されたコマツナとホウレンソウを用いて, 個体レベルの凍結障害と葉片組織から漏出する電解質量との関係を調査した.コマツナ, ホウレンソウともに, 葉片組織からの電解質漏出と個葉の凍結傷害葉面積で測定した耐凍性は, どちらの評価法においても異なる3段階の低温馴化温度(高温, 中温, 低温処理)の違いに対応していた.さらに, 傷害温度の関係もどちらの評価法で測定しても同様であった.しかし, いずれの低温馴化温度条件においても, 凍結-融解された葉片組織から電解質が50%漏出する温度(T_<EL50>)と個葉の葉面積の50%が傷害を受ける温度との間には, 2∿4℃差がみられ, T_<EL50>の方が常に低く表示された.T_<EL50>は, コマツナ, ホウレンソウともに個体レベルでみると"葉の大部分が著しく傷害され, 栽培継続が困難な傷害を受ける温度"に相当した.実際の栽培における耐凍性は"凍結傷害が葉先や葉辺に若干みられるものの, その後の生育に大きな影響がない"程度で評価する必要がある.このような観点からコマツナおよびホウレンソウの耐凍性を評価する場合, T_<EL15>(磨砕した葉片組織からの電解質漏出を100%とした場合)ないしはT_<EL20>(-80℃での凍結後の融解によって完全に致死させた葉片組織からの電解質漏出を100%とした場合)で表示するのが適当と考えられる.
- 2000-05-15
著者
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