セイヨウナシの低温誘導追熟性欠損系統のエチレン生成と作用
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概要
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セイヨウナシ(Pyrus communis L.)果実の低温処理による追熟反応の誘導は, (1)低温の感受とそのシグナルの伝達, (2)エチレン生合成の誘導, (3)生成したエチレンの作用, (4)加水分解酵素の誘導による軟化と関連する変化, の4過程に分けられる.本研究では, 'ラ・フランス'と'ル・レクチェ'の交雑実生由来の2種類の低温誘導追熟性欠損系統, P12-9およびP12-111における変異がどの過程での変異に由来するかを, 果実のエチレン生成と作用を調べて推定することを試みた.P12-9果実では, 低温処理によってACC合成酵素活性とACC含量の増加およびエチレン生成が誘導された.しかし, エチレン処理による果実の軟化は起こらなかった.この結果から, P12-9はエチレン感受性が変異していることが推定された.一方, P12-111果実のエチレン生成は, 低温処理によって誘導されなかったが, 室温下の長期保存によって誘導された.また, この果実は室温下の長期保存によるエチレン生成誘導下でも軟化しなかった.従って, P12-111は, 低温に対する感受性とエチレンに対する感受性が変異していることが推定された.一方, これらの2種類の系統が, 細胞壁の加水分解酵素等の軟化に関わる機構に変異を有している可能性も否定できず, 今後, 検討されなければならない.
- 園芸学会の論文
- 2000-03-15
著者
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佐藤 茂
京都府大
-
佐藤 茂
東北大学大学院農学研究科
-
吉岡 俊人
東北大学大学院農学研究科
-
羽柴 輝良
東北大学大学院農学研究科
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菅家 智ゆり
東北大学大学院農学研究科
-
米野 智弥
山形県立園芸試験場
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