チャにおけるエステラーゼアイソザイムの変異
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
チャ(Camellia sinensis L.)の種内は,一般にはvar. assamica(アッサム種)とvar.sinensis(中国種及び日本種)の2変種に大別されている。これまでのチャの種内分化に関する研究は主として形態的特徴に基づいており,遺伝的変異については明らかになっていない。そこで本研究では,エステラーゼアイソザイムの変異に基づき,チャ種内の各集団の遺伝的関係を明らかにしようと考えた。 検出された18本のバンドのうち,3本のバンドは,供試したほとんど全ての系統で出現し,チャにおける基本的なバンドであると考えられる。またアッサム種に固有なバンドは2本,中国種では1本であったが,いずれも出現頻度の極めて低いものであった。日本種で検出されたバンドは全て中国種でも見られた。バンドの出現頻度に関しては,アッサム種と中国種の間で5本,アッサム種と日本種の間で6本,中国種と日本種の間で3本のバンドに有意な差が見られた。ザイモグラムに関しては,3種とも大きな変異を示し,各種を特徴づけるようなタイプを見い出すことはできなかった。 ザイモグラムのパターン分析を行ったところ,3種の分布は互いに重なり合い,明確な境界を認めることはできなかった。また集団間距離は,アッサム種と中国種・日本種の間が大きく,中国種と日本種の間は非常に小さかった。
- 1982-06-01
著者
-
大曽根 兼一
Faculty Of Agriculture Meijo University
-
長戸 かおる
東京大学農学部:(現)東京大学総合研究資料館
-
長戸 かおる
Faculty of Agriculture, University of Tokyo
関連論文
- イネの胚予発生とX線の効果 : I.M_1致死および双子誘発から見た発生の特異段階
- (32) イネにおける実用形質の突然変異誘発に関する研究(I) : 日本育種学会第29回講演会講演要旨 : 一般講演
- エステラーゼアイソザイムの変異に基づくサザンカ,カンツバキ,ハルサザンカおよびツバキの相互関係
- チャにおけるエステラーゼアイソザイムの変異
- ノハギ属におけるワヒスケ類の位置と起原について
- 稲の照射種予内に誘発された突然変異細胞の発育機構に関する研究
- 〔34〕X線による稲の葉緑素突然変異の誘発とその組織学的機構の推定 : 日本育種学会第17回講演要旨 : 一般講演
- アイソザイム変異に基づく我が国のツバキ属植物の種間および種内関係
- 「植物の蛋白質改良育種への新しいアプローチに関するFAO・IAEA共催パネル」報告
- IAEA Seubersdirf Labo便り
- (54) 放射線利用によるイネの胚子発生学的研究(I) : 日本育種学会第28回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔48〕稲の種子照射当代における選抜方法について : 日本育種学会第22回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔57〕稲の種子照射による誘発突然変異の発生学的機構に関する研究. 第2報 R_1植物内での突然変異キメラの形成 : 日本育種学会第21回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔56〕稲の種子照射による誘発突然変異の発生学的機構に関する研究. 第1報 R_1分げつによる突然変異出現の差異 : 日本育種学会第21回講演会講演要旨 : 一般講演
- 〔59〕放射線照射稲における突然変異率及び分離比の分げつによる差異(予報) : 日本育種学会第19回講演会講演要旨 : 一般講演
- 生殖細胞倍加による三倍体植物の育成に関する研究
- [31]種籾の吸水と放射線感受性との関係 : 日本育種学会第13回講演会講演要旨 : 一般講演要旨
- [25]卵叉は花粉倍加による三倍体植物の育成に関する研究(第二報) : 日本育種学会第13回講演会講演要旨 : 一般講演要旨