アイソザイム変異に基づく我が国のツバキ属植物の種間および種内関係
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概要
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本研究はアイソザイムの変異傾向から,ツバキ属植物中,我が国に自生あるいは栽培されている種を中心ヒその類縁関係を明らかにしようとしたものである。扱った酵素種は,パーオキシターゼ,エステラーゼ,アシドホスファターゼである、アシドホスファターゼについては,種間お一よび種内での明瞭な差が見られなかった。パーオキシターゼとエステラーゼに関しては,各種とも多様なアイソザイム変異を示したが,多くの場合,種や変種に特異的なパンドもザイモグラムも見られなかった。そこで,パターン分析および集団問距離の計算により種間および種内関係を推定した。2酵素種の示す結果は互に異なっていたが,一方では2酵素種とも全種に共通のパンドが見られたことから,ツバキ属の各種はツバキ属としての同質性を保ちだから,酵素種ごとに異なった分化をしているようである。総合すれば,チャとサザンカは層内で遠い関係にあり,ツバキはその近縁種と共に両種の中間に位置すると考えられた。ツバキとサザンカとの雑種と推定されているバルサザンカとカソシバキのパーオキシターゼは,両名の特徴を合わせもつザイモグラムを示した。ワビスケのエステラーゼは,チャとは非常に異なるがツバキとはよく似たザイモグラムを示した。チャの種内では,シナ種とアッサム種との間に違いが見られ,日本種はシナ種に近かった。ツバキおよびサザンカの種内では,園芸品種と野生系統の間で,数本のバンドの出現頻度に違いが見られた。
- 日本育種学会の論文
- 1979-03-01
著者
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